廃棄物処理についてお客様より、最近下記のような質問をよく頂きます。
「◯◯◯のような廃棄物を処理したいのですが、買取りできますか?」
この質問は専門的には次のように言いかえることができます。
「排出事業者が収集運搬委託処理するゴミは“廃棄物”ですか、それとも“有価物”か?」
なぜなら、排出事業者から引取る物の中に、“廃棄物”が含まれている場合は、許可証(一般・産廃)が必要ですが、“有価物”のみであれば許可が不要だからです。
有価物とは「価値の有るもの」、つまり廃棄物(ゴミ)ではないものです。
廃棄物の法的な定義
上の内容を“行政機関”に質問すると、
「伺ったお話の内容から総合的に判断すると、これは産業廃棄物(あるいは有価物)と考えられます。」
と回答されるのではないでしょうか。
廃棄物の定義が、「占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないために不要になった固形状又は液状のものとあり、そして更に「廃棄物に該当するか否かはその物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無および占有者の意思等を“総合的”に勘案して判断すべきものであること」とあるためです。これを「総合判断説」と呼びます。
「廃棄物」と「有価物」の判別ポイント
上で述べたように、「廃棄物」と「有価物」の判別は総合的な勘案のもとでなされるのが基本です。しかし、これは日常的に廃棄物行政に関わっていない一般の人にとっては、非常に曖昧でわかりづらいものです。ですので、排出事業者、廃棄物処理業者に関係する方は、一応以下の2点を念頭においていただけると良いと思います。
この2点に該当すれば、概ね「有価物」である、と判断できます。
(1)売却できること
※ 運搬費用を差引いても排出事業者に利益がなければなりません。
(2)その物から作られる製品に需要があること
(または、その物自体が再利用されること)
そして、ここでは特に(1)注意する必要があります。
つまり、収集運搬処理費用までトータルで考えて排出事業者に利益が出なければ「売却できる」とは判断されないということです。
売却代金と運搬費用の関係は以下の3つが有ります。
(a)売却代金が運搬費よりも高い場合
(b)売却代金が運搬費よりも安い場合
(c)売却代金と運搬費が同額の場合
(a)の例は、例えば不要物の売却代金が2万円、売却先までの収集運搬処理料が1万円の場合です。この場合、排出事業者に1万円の利益が生じるため、この不要物は「有価物」です。
(b)の例は、不要物の売却代金が1万円、売却先までの収集運搬処理料が2万円の場合です。
この場合、排出事業者に1万円の費用が発生するため、この不要物は「廃棄物」です。
(c)の例は、不要物の売却代金が1万円、売却先までの運搬費用が1万円の場合です。この場合、排出事業者には利益も費用も発生しません。つまり、取引価値がないので「廃棄物」です。
また、初めから相殺して、運搬を無償で引き受ける場合も「廃棄物」の扱いとなります。
つまり、同じ物でも、天童市から山形市まで運搬する場合は「有価物」、遠方の市町村から運ぶ場合は「廃棄物」ということもありえるということです。
「廃棄物」か「有価物」の判断は、あくまで運搬費用までトータルで考えた上で判断されるためで、無料回収「0円」は廃棄物になります。